レッドオクトーバーを追え 目次
原題と原作について
見どころ
あらすじ
発端
レッドオクトーバー
ジャック・ライアン
原潜ダラス
艦長ラミウス
キャタピラー
ソ連東欧の経済=財政危機
偽の演習作戦命令書
キャタピラー
巨体は技術の遅れが理由
コンピュータ技術の遅れ
消されたシーン!?
ラミウスの挑戦状
謎の原潜の痕跡
ライアンの読み
大統領補佐官の命令
レッドオクトーバーを追え
安保外交上の駆け引き
アメリカの当面の対応
ライアンの賭け
「気が狂ったイワン」
亡命のプロット
キャスティング
レッドオクトーバー追撃
破壊工作(サボタージュ)
危難を利用する
トリック&トラップ
破壊工作(サボタージュ)
海の大芝居
海面下の一騎打ち
トゥポレフ艦長
潜水艦戦
海上と海面下
ペルトとソ連大使
ラミウスとライアン
「冷戦構造」とはなんだったのか
軍産複合体の支配
諸国家の軍事的生存環境
パクスアメリカーナ
軍産複合体の「成功」

安保外交上の駆け引き

  折しもそのとき、補佐官ペルトはソ連大使を呼びつけて問い詰めていました。
  ペルトは矢継ぎ早に問いかけます。
  ソ連海軍のこの大がかりな急展開はどういうことだ、
  ソ連哨戒機はラブラドル沖からアイスランドまで、無数のソナーブイを投下しているではないか、
  これは開戦(海戦)の準備か、と。

  大使はどうやら事情をほとんどまったくつかんでおらず、本国から到着したあまり当てにならない理由(虚偽が見え見えの)をしどろもどろに伝えました。
  いわく、
  原潜1隻が遭難し行方不明になったのだが、それには共産党指導部のメンバーの子息が乗務している。そこで、海難捜索と人命救助のための出動だ、と。
  ペルトは笑いをこらえながら、目いっぱいの同情を見せて、アメリカ海軍の支援・協力を申し出ます。
  が、自身、事態の成り行きに不審を抱いている大使は、丁重に断りました。


  ペルトと大使のやり取りは、この映画のしゃれたウィットを示す格好の場面の1つです。
  ペルトは、ソ連海軍の慌てふためいた動きから、ラミウス率いるレッドオクトーバーは亡命を企図しているのは、ほぼ確実のようだと判断しています。しかし、そんなソ連の窮地を知らぬふりで、大使を責め立てているわけです。

  駐米ソ連大使といえば、ソ連はおろか、世界中の外交官のなかでもエリート中のエリートです。出世競争を勝ち抜いた業績顕著なソ連外交官が、定年間際になって、最後にようやくたどり着く最高のキャリアなのです。
  そのスーパーエリート、しかもペルトの父親に近い年齢の大先輩に向かって、ペルトは、ライアンに命令するときのように「ぶっちゃけた」乱暴な話し方で噛みつくのです。相手の苦境を知り抜いているのに。

  「これはまた、じつに遠慮(忌憚)のない物言いですな」と大使は驚きたじろぎます。エリート外交官は、今までにこんな乱暴な物言いをされたことがないのでしょう。
  ペルトからとっちめられた大使は、この事件の最大の被害者のようです。

  大使館に戻った大使は、(おそらく翌日)ふたたびペルトを訪ね、苦渋に満ちた顔で頭を下げることになります。
  「原潜レッドオクトーバーの艦長ラミウスが精神に異常をきたし、アメリカを先制核ミサイルで攻撃すべく、北大西洋を南下している。
  そこで、アメリカ海軍にも、この艦の探索と撃沈に手を貸してほしい」
という本国の要請を伝えるためです。

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