アメリカはといえば、ソ連との軍事的・政治的な闘争・競争をめざす利害構造=共同主観をビルトインした政治経済構造をつくりあげ、それを国際的に連動・波及させるメカニズムを打ち立てました。
軍産複合体が主導する、きわめて効率的な「軍拡経済」です。
平和主義者は、軍産複合体主導の軍拡経済の弱点や危機随伴性を指摘しますが、その批判は観念的=理想主義的で、現実問題としてあまり当たっていません。
軍産複合体は、世界的規模できわめて「効率的な経済の仕組みを構造化することに成功しました。
第2次世界戦争中から、アングロアメリカンの企業と政府は世界の産業を構造化してきました。
マイクロエレクトロニクス、IT・インターネット、航空機、自動車、工作機械・車両などでは、巨額の政府財政の支出で支援されながら、軍事部門での先端技術開発が先行します。
そこで世界の主要産業のプロダクト・ライフサイクルの長期波動が生まれます。
次には、それを民生部門に転用・再開発して幅広い生産技術と耐久消費財の生産を組織化し、また巧妙なマーケティングでこれに見合った需要構造をつくり出しました。
アメリカで1940年代に始まり、日本では1980年代まで続く、先進諸国の「高度経済成長」とは、そういう実体構造でした。
エネルギー循環において圧倒的に核や石油に依拠する世界システムもまた、分散複合体が優越し支配する構造です。
それが、1940年代から現在までの世界的規模での経済成長の軌道を敷いてきたともいえます。とはいえ、それがやがて地球環境の危機を生み出したのですが。
冷戦後、現在の中国の台頭すら、そのシナリオ=軌道の延長線上に生まれた状況ではないでしょうか。とはいえ、この構造が動揺して構造転換しようとしているようにも見えます。