以上の物語から、ジェフとギャビーの狙いプをまとめてみよう。
かつてインディアナ州ガードナー市の高校で少年による銃乱射事件が発生して、ジェフの同窓生(ギャビーの姉)を含む高校生たちが射殺された。ガードナー市は、大量の銃を製造して無責任にアメリカ中に販売、供給している銃器メイカーを提訴した。事件は陪審裁判でおこなわれることになった。
銃器メイカー側は、陪審コンサルタントとしてランキン・フィッチを雇った。
陪審員団は銃器メイカーの責任を認める方向に傾きかけたが、ランキンの力づくの買収や脅迫による工作で、陪審評決はひっくり返ってしまった。
訴訟に多額の財政資金を投入した市は破産してしまった。
以後、ジェフは法律家の道をめざすが、富と権力、駆け引きが勝敗を左右する法曹界の実態に嫌気がさして、ドロップアウトしてしまう。
その後、ジェフとギャビーは、銃乱射事件の陪審裁判に割り込み、銃器メイカーの過失責任を追及する世論を喚起しようとするが、一度も成功しなかったようだ。そして、彼らの狙いはむしろ、陪審裁判の評決を金の力で支配し囲いこもうとするランキン・フィッチへの報復に重心を置くようになっていった。
そんな折に偶然、ルイジアナ州ニュウオーリーンズ市の金融街での銃乱射事件をめぐる民事賠償の訴訟が提起され、ジェフ(ニコラス)が陪審員に選任される可能性が出てきた。
この「偶然」については、ジェフが市の選挙人名簿から陪審員候補を選び出すIT・データベイス・システムにハッキングして、ニコラス・イースターの名前を押し込むことによって、もたらされたらしい。
ニコラスは、陪審員団の動きを操作しようとするランキンの画策を牽制・妨害しようと動き、他方ギャビーは、ランキン・フィッチに陪審評決の買収を持ちかけ罠を準備する。詐欺=コンゲイムによる闘いを挑んだのだ。ランキン・フィッチを破滅に追い込むために。
挑戦が成功したならば、受け取った「買収代金」は、ガードナー市でいまだに苦しみながら暮らしている被害者やその遺族の救済に充てようとした。