サンジャックへの道 目次
原題について
見どころ
予備知識として
聖ヤ―コブ伝説
奇蹟の伝説と巡礼風習
あらすじ
不仲の3人兄妹弟
出発地のルピュイ
道連れの面々
何も持たないクロード
現代フランス人の旅
「やれやれ」な旅立ち
余計な重荷は捨てるしかない
「余計なもの」を捨てる旅
人生は重荷を背負った上り坂
クロード
ラムジ
カミユ
マティルド
ギュイ
人生の出会いと交錯
「原則」とリアリズム
道連れ、そして仲間意識
ラムジの境遇
課題を見つけたクララ
ラムジの学習
「薬漬けの日々」からの脱出
聖職者たち
聖職者も人間・・・
誠実な神父もいる
強欲で罰当たりな司祭
聖地まで歩き続けるぞ!
虚栄で流行を追う者
寄せ集め国家の不協和音
仲間は兄弟、助け合うもの!
聖地巡礼で得たもの
クロードの酒気を抜け
巡礼旅の終わりに
エピローグ

虚栄で流行を追う者

  さて、上り坂の途中に、その朝、キザったらしく格好つけて4時半に出発した若い男がへばっていました。
  その男は、エルザやカミユやピエールたちを「ダサい」と小馬鹿にして、最新流行の登山用具を見せびらかして、宿を出ていったのです。
  そのあげく、彼は「巡礼旅なんて、苦しいだけでバカらしい。もうやめた。タクシーを呼んだのさ」とうそぶいて、道の傍らに座り込んでいました。

彼は、とにかく流行の最先端を追うことで、自分をよく見せようという心根の人物です。だから、巡礼がブームとなれば、とにかく飛びつく、しかもやはり流行の最先端の便利なグッズをそろえて・・・。

  ピエールやエルザたちは、その男に皮肉を込めた「返礼」を突き返すことで、別れの挨拶としました。

  ところが、やがてピエールは、山脈の最高地点まであと少しのところで、草原の上り坂を喘ぎながら歩くことになった。
「ああ、あんなに立派な啖呵を切ってしまった俺は、バカだ。こんな苦しい思いをするなんて」と自分に毒づきながら。
  だが、歩きをやめることはありませんでした。

寄せ集め国家の不協和音

  エスパーニャは15世紀から今日まで「連合王国」です。
  主要なものだけでも、
    権力の中枢を保有するカスティーリャ王国、
    古い文化と豊かな商業史を誇るカタルーニャ=アラゴン連合王国、
    自立志向の強いヴァスク(バスコ)を抱えるナバーラ(ナヴァル)王国、
    そしてバレンシーアなど
が寄せ集まってできている国です。話す言語も違っています。

  カスティーリャ以外の地方は、いわば周囲の列強の都合やフランコ独裁政権の脅迫を受けて仕方なく、統合されていたようなもの。少なくとも、そう思っている人が多いのです。
  この数百年のあいだに何度も血なまぐさい反乱と圧殺の経験を繰り返してきたのです。

とりわけ富裕な商都バルセローナを擁するカタルーニャは、カスティーリャの財源不足を補うために、この400年間ずっと、重い課税にあえいできました。ほとんど見返りもなしに。

  ヴァスクの独立運動はもちろんのこと、カタルーニャやナバーラも、カスティーリャの中央政府には楯突くこともしょっちゅうあるのです。

  ピレネー(ピリネオス)の辺境地帯には、こうしたエスパーニャ中欧に対する自立心が強い人種や民族が多いのです。
  が、エスパーニャの中心部(マドリードやプラード)に近づくほど、中央集権的な、あるいはカスティーリャ中心主義が強まっていくようです。
  遍路道をたどる一行がブルゴスという大都市に近づくと、ますますそうなっていきました。

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