サンジャックへの道 目次
原題について
見どころ
予備知識として
聖ヤ―コブ伝説
奇蹟の伝説と巡礼風習
あらすじ
不仲の3人兄妹弟
出発地のルピュイ
道連れの面々
何も持たないクロード
現代フランス人の旅
「やれやれ」な旅立ち
余計な重荷は捨てるしかない
「余計なもの」を捨てる旅
人生は重荷を背負った上り坂
クロード
ラムジ
カミユ
マティルド
ギュイ
人生の出会いと交錯
「原則」とリアリズム
道連れ、そして仲間意識
ラムジの境遇
課題を見つけたクララ
ラムジの学習
「薬漬けの日々」からの脱出
聖職者たち
聖職者も人間・・・
誠実な神父もいる
強欲で罰当たりな司祭
聖地まで歩き続けるぞ!
虚栄で流行を追う者
寄せ集め国家の不協和音
仲間は兄弟、助け合うもの!
聖地巡礼で得たもの
クロードの酒気を抜け
巡礼旅の終わりに
エピローグ

聖地巡礼で得たもの

  3か月間近くのあいだ難路を歩き続け、そして苦楽をともにする体験というものは、人びとに何かを発見させるらしいですね。
  あるいは、悟りを啓くということかもしれなませんが。

■クロードの酒気を抜け■

  そのなかでも、あまり変化を見せないのが、クロードです。
  もともと何ひとつ荷物を準備・用意せずに、遺産ほしさに巡礼に臨んだわけですから。
  彼には捨て去る物がなかったのでしょう。何も捨てなかったのですが、得るものもあまりなかったのかもしれません。

  集落を通るたびに酒場に入り浸ってしまう習慣は変わりません。そして、金がないので、仲間の誰かが迎えに来るのを待って、その場を言い繕って酒の代金を払ってもらうことになります。
  自立心に乏しい態度も治る見込みがないように見えます。クロードに好意を持っていたマティルドも、ついに愛想を尽かしました。

  ところが、ある街を通ったとき、クロードの姿が見えなくなりました。水の補給のために休憩したとき、一行はクロードがいないことに気がつきました。
  「また酒場だよ、きっと」誰もが知っているのです。
  ギュイが気づかって迎えに行きました。当然、酒代も払うことになるのですが。

  ところが、十分に水分を取らずにアルコールを摂取したクロードは、歩き出そうとした瞬間に倒れてしまいました。ギュイはクロードを担いで道に連れ出しました。
  それを見たピエールとクララが駆け寄って、両側からクロードの方を支えて歩き出しました。クララとピエールの荷物は仲間が分担しました。

  兄姉としてクロードを何とかしなければ、と2人は思ったようです。
  それからは、町や集落を通るたびにクロードが酒場に向かおうとすると、クララとピエールが注意や警告を発してクロードを酒から遠ざけようとしました。
  2人の真剣な態度を見たクロードは、酒を断つようになりました。アルコール依存症との闘いでは、やはり兄弟の言葉が役に立ったようです。

■巡礼旅の終わりに■

  あれやこれやあって、ついに一行はサンティアーゴ・デ・コンポステーラに到着しました。
  そこには、巨大なオブジェの記念塔が建てられていました。ラムジは喜びいっぱいにオブジェに駆けのぼりました。カミユとエルザが後に続きました。

  だが、サイードは暗い顔つきでした。
  カミユの携帯電話で自宅に連絡したところ、ラムジの母親が病死したことを知らされたからです。
  結局その日は、悲しすぎる事態をラムジに伝えることができなませんでした。
  サンティアーゴの大聖堂・修道院で巡礼旅の完遂を祝福する行事(祈祷)がおこなわれたり、国営ホテルに泊まり込んだりで、慌ただしいうちにその日は暮れました。

  翌朝、一行はサンティアーゴから大型観光バスで海岸まで行きました。遥かに大西洋が広がっています。
  ラムジとサイードは波打ち際に行きました。ラムジの母の死は、ラムジ以外の全員が知っていました。サイードは辛い事実を伝えるために、ラムジを浜辺に連れ出したのです。
  一行は遠くから、波打ち際での2人の成り行きを眺めていました。

  はじめのうち、打ち寄せる波と戯れていたラムジは、サイードから母の死を告げられたようです。混乱し嘆き悲しみました。そして、友の肩にすがって泣きました。

  巡礼の旅はここで終わります。

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