ミュンヘン 目次
暴力と憎悪の連鎖
原題と原作について
見どころ
あらすじ
ミュンヘン・オリンピックのテロ事件
テロリストたちの要求、交渉の経過
大 惨 劇
されどオリンピックは続く
偶然の連鎖としての状況
イスラエル国家の意思表示としての報復
暴力の応酬
標的の11人
超法規的=非合法の作戦
作戦ティームのメンバー
容赦ない暗殺
容赦ない暗殺 続き
闇の情報屋稼業
大きすぎた破壊力
爆弾製造役の能力
方針の対立
ベイルートでの襲撃
ルイのファミリー
危ない回り道
変貌する作戦
CIAコネクション
CIAの妨害
策謀の交差
復讐のための復讐
パンドーラの箱
分 岐 点
運河での殺戮
崩壊し始めたティーム
隠れ家襲撃の失敗
PTSD
国家論の問題として
おススメのサイト
軍事・戦史
史上最大の作戦
戦争の犬たち
空軍大戦略
医療サスペンス
コーマ
評  決

あらすじ

  1972年9月、オリンピックが開催されていたドイツのミュンヘンで、パレスティナ過激派の集団がオリンピック選手村のイスラエル選手団を襲撃した。テロリスト集団は人質とともに飛行機での逃亡をはかったが、ドイツの武装警察隊に包囲され、多数の死傷者を出す悲惨な結果となった。
  事件後、イスラエル政府は、このテロ事件を計画し指導したパレスティナ過激派組織の幹部を殺戮するという報復作戦を開始した。秘密工作員のティームを組織し、世界各地に派遣することになった。

  アヴナー率いるティームによる暗殺作戦が始まった。彼らは標的となる人物の身元や所在を確認追跡して、一人また一人と残酷に殺戮していった。やがて、パレスティナ・ゲリラ側は、彼らの陣営の要人たちの一連の暗殺がモサドの秘密作戦だと気がついた。
  激しい攻防と報復合戦が繰り広げられていった。アヴナーの仲間も殺され、殺し合いは熾烈さを極めていった。アヴナーは作戦の正当性に懐疑を抱き始めた。「われわれ自身がテロリストになってしまい、かつては最も忌むべきものとされた存在に自ら堕してしまったもではないか」と。
  暴力と憎悪の自己増殖が展開していった。


  アヴナーたちの報復作戦は、だんだん当初の目的や自己抑制から逸脱していった。殺戮はより多くの敵を新たにつくり出すことになった。ティームの仲間も殺され、その復讐にも手を広げた。
  だが、あまりに凄絶な殺し合いのなかで、ティームのメンバーにも脱落者が出始めた。アヴナー自身、この作戦の意味――泥沼化する帰結――に疑いを深めていった。そして、ついに戦線を離脱した。アヴナーは、それまで忠誠を誓ってきた祖国、イスラエル国家への不信感と懐疑を深めた。テロに対してテロで報いるという作戦を市民に強いる国家とは何か。怪物か?

  この映画は私たちに鋭く問題を提起する。究極的に軍事力によって――周囲の民族を抑圧圧迫することで――その存立基盤を保とうとする国家・国民とは何か、と。市民たちに兵士の役割と暴力の行使・戦闘を強制し、殺戮戦に駆り立てる国家とは何か、と。

前のページへ | 次のページへ |

総合サイトマップ

ジャンル
映像表現の方法
異端の挑戦
現代アメリカ社会
現代ヨーロッパ社会
ヨーロッパの歴史
アメリカの歴史
戦争史・軍事史
アジア/アフリカ
現代日本社会
日本の歴史と社会
ラテンアメリカ
地球環境と人類文明
芸術と社会
生物史・生命
人生についての省察
世界経済
SF・近未来世界